(相談者)フリーランスになるとIDECOに入った方がいいって聞いたんですけど、よく分からなくって。手続きも面倒そうだし。
(CPAみゆき)フリーランスに限らず、会社勤めの方も、IDECOは超おススメ。 確かに手続きはちょっと面倒ですが、それを上回るメリットがあります。説明していきますね。
IDECO(個人型確定拠出年金)って?
iDeCoは、国が創設した個人型年金制度です。
毎月一定の金額を60歳まで積立てて、
60歳以降に年金または一時金で受け取ります。
自分で窓口となる金融機関と運用方法を選んで、定期預金・保険・投資信託といった金融商品で運用します。
公的な年金制度とは別に、プラスアルファでもらう年金になります。
何でやらないと損なの?
個人が年金を確保することを促進するために、国が設けた制度なので、節税メリットがめちゃめちゃ大きいのです。
さらには、長期間運用することの運用メリットも大きいです。
節税メリットは、掛け金額によって大きく変わってくるのですが、
例えば今30歳で年収が500万円の人が、月2万3000円を60歳まで積み立てた場合、所得税・住民税の節税額は、トータルで
1,656,000円
です。
そして、年金を受け取る時に所得から控除することができ、年金受取時の税金も節約できるのです。
さらには、投資の運用益や預金利息には通常20%の税金がかかるのですが、これも免除されます。
もちろん、運用することで積立額も増えていきます。
先ほどの例(30歳、年収500万円、月2万3000円を60歳まで積み立て)で、3%の運用利回りの場合に、運用益は何と
5,122,948円
になります。
ただし、運用利回りについては確約があるわけではなく、商品によっては逆に損をすることもあります。
しかし、自分のリスク許容度に合わせて、より安全な商品を選ぶこともできますし、途中で商品を変更することも可能です。
預金の積み立てでは、節税はできませんし、利率が現在のように低い状況では、ほとんど増えません。
もう、やらないと損だと思いませんか?
所得税・住民税がどのくらい節約できるかについては、節税額のシュミレーターがあるので、是非計算してみてください。
楽天証券では、運用方法も含めたシュミレーションができます。
ほかの年金と比べてどうなの?
個人年金保険に入ってるけど。
小規模企業共済に入ってるけど。
NISAをやってるし十分。
そんな声も聞こえてきそうです。
それぞれメリット・デメリットがあるため、一概には言えませんが、個人的に最優先はIDECOです。
いずれもIDECOと併用が可能ですので、フリーランスであればまずIDECOに入り、次に小規模企業共済、その次にNISAの優先順位でよいでしょう。
もちろん、会社員の方もIDECOに加入できます。
会社員の方はまずIDECOに入り、次にNISAを利用することをお勧めします。
それぞれ、なぜIDECOが優先するのかを説明します。
個人年金保険
個人年金保険の掛け金の税額控除には制限があり、年金受取時にも所得税がかかります。
IDECOの掛け金は全額税額控除ができ、受取時にも控除が適用されるため、節税額が段違いです。
一方、個人年金保険は中途解約が可能であることがメリットです。ただし、元本割れのリスクもあります。
それらを勘案すると、IDECOに比べ個人年金保険はあまり大きなメリットがないと言えます。
小規模企業共済
小規模企業共済は、個人事業主や一定の要件を満たした事業者が加入できる、IDECOと同じく節税メリットの大きい年金制度です。
中途で解約できたり、借入ができるなど、IDECOにないメリットがあります。
一方、運用利回りは1%程度にとどまり、IDECOのように運用方法を指定することができません。
運用を重視するならIDECOを優先した方がよいでしょう。
ただしIDECOは60歳まで引き出すことができません。
また、IDECOで積み立てることができるのは60歳までのため、IDECOへの加入年齢が遅いと積立ての期間が短くなります。
もし相場が下落した場合、取り戻すまでの期間がなく元本割れするリスクがあります。
人によりIDECOが不利になる場合もあるので、
両方のメリット・デメリットを考慮し、決める必要があります。
掛け金に余裕があれば、両方を利用するとリスクを分散させるとともに、両方のメリットが享受できます。
NISA
NISAは、一定金額まで金融商品の運用益への税金が免除される制度で、必ずしも年金に限っておらず、個人の資産形成をサポートしてくれる制度です。
一般NISAと積立NISAがあり、それぞれ期間と金額上限に違いがあります。
NISAは途中解約が可能で、一般NISAではIDECOよりもリスクの高い株式などに投資ができるというメリットがありますが、掛け金で節税することができません。
まずはIDECOを優先の上、NISAをすることをお勧めします。
ただし、NISAにも大きな節税等のメリットがありますので、別の機会にお話したいと思います。
設定方法
IDECOは証券会社や銀行、保険会社といった金融機関が窓口になりますので、まずは金融機関を選びます。
サポートや手数料などを比較して決めますが、運用期間がかなりの長期となりますので、手数料と運用管理費用(信託報酬)の低い商品の取扱いがあるかを重視することをおすすめします。
個人的には、ネット系の金融機関は基本的に手数料が安く、オンライン情報も充実しているのでおすすめです。
(手数料については、次の留意点ー手数料でもお話しています)
次のサイトでは、金融機関の比較ができます。
あまりにもたくさんありすぎて、ここで挫折しそうになる方がいらっしゃるかもしれません。
そんな時は、身近にIDECOに入っている人を探して、使い勝手などを聞いてみると良いでしょう。
金融機関が決まれば、指示に従って申込み手続きを行います。
後は指示に従い、掛け金額や引き落とし金融機関、商品の選択を行います。
留意点
掛け金額
IDECOは、月額5000円から積み立てることができますが、上限額は職業によって異なります。
節税メリットが大きいので、可能な限り上限額まで積立することをお勧めします。
年収により所得税・住民税の額が異なりますので、節税メリットがそこまで受けられない場合もありますが、年金受取時や配当に対する税金の免除がありますし、やはり運用の効果が大きいので、枠いっぱい使うのがおすすめです。
ただし、生活にいっぱいいっぱいで、キャッシングしないと払えないよ、なんていう場合にまで積み立てるものではありません。
また、60歳まで払い戻しができないため、無理のない掛け金額としましょう。
掛け金額は、途中で変更することもできます。
職業別の上限額は次の通りです。
手数料
IDECOでは口座管理料と、投資信託で運用する場合の手数料が必要となります。
投資信託手数料は毎月の掛け金の〇%という形でかかってきますので、積み上げると馬鹿になりません。
また投資で儲けたお金以上の手数料がかかっては元も子もありません。
投資信託の手数料には注意しましょう。
商品ごとの投資信託手数料については次のサイトが参考になります。
リスク
IDECOには大きく次のようなリスクがあるので十分に注意してください。
・元本割れのリスク
・六十歳まで引き出せないリスク
・元本割れのリスク
IDECOでは自分で運用方法を決めます。
定期預金のように元本割れリスクのない商品から債券、リート(不動産)、株式投資などリスクの高い商品まで様々な商品があります。
株式など、一般的にリターンが高い商品は値下がりのリスクがあり、
定期預金などのリスクの低い商品は、値下がりのリスクは小さい一方で高いリターンは望めません。
どれぐらいのリスク・リターンを取るかは人によってそれぞれですので、何を取るかはお任せしますが、自己責任であるということだけ覚えておいてください。
なお、掛け金をどの商品にどれだけ配分するかは自分で自由に決めることができます。
ネット証券等で申し込んでいる場合は、評価損益情報も常に見ることができます。
設定の変更も簡単です。
まずは掛け金を分散して、評価損益状況などを定期的に見ていくとよいでしょう。
ちなみに、定期預金は値下がりのリスクはありませんが、口座管理料がかかるため、現在のような低金利の状況では元本割れしてしまいます。
・60歳まで引き出せないリスク
IDECOは60歳まで引き出すことができません。
ライフプランにおけるお金の収支をしっかりプランニングをしておきましょう。
どうしても、となった場合は全く中途解約する方法がないわけではありませんが、せっかくの積立てが無駄になってしまいます。
ただし、途中で掛け金の変更もできますし、休止することもできるので、細々とでいいので続けていきましょう。
いかがでしたでしょうか。
IDECOはとてもメリットが大きいので、ぜひやってみてください。