今すぐに会社を辞めるわけではないけども、将来的に独立したい。何をやっておけばいいのかな
そんな方のために、会社員時代にやっておいた方がいいことを3つ、お伝えします。
独立の準備として、短期的には、名刺の準備、開業届、独立のあいさつなどいろいろありますが、今回はもう少し長期的な視点、時間がかかるため、早めに取り掛かっておいた方がいいことに焦点をあててお話します。
やっておきたい3つのこと
将来フリーランスとしてやっていきたいと考えている人が、会社をやめる前にこれだけはやっておいてほしいことは、次の3つです。
・貯蓄
・専門性・スキルの向上
・人脈構築
貯蓄
これは、業種や人により大きく異なるところですが、独立資金とは別に、しばらく収入がなくても生活できるだけの貯蓄が必要です。
独立後、すぐに収入があるとは限りません。
また、昨今のコロナのような状況がいつ起こるかわかりませんし、いつ病気になって働けなくなるかもわかりません。
事業が軌道に乗るまで2~3年かかるような場合もあります。
お金が尽きて計画変更、とならないように、しばらくの間収入がなくても暮らせるだけのお金を用意しておく必要があります。
経済評論家の勝間和代さんは、最低でも2年収入がなくても暮らせるだけの貯蓄が必要、とおっしゃっています。
これは、独立前にすぐに貯められるものではないので、コツコツ貯めておく必要があります。
専門性・スキルの向上
会社員時代は、どちらかというと専門性もさることながら、組織でうまくやっていくためのリーダーシップや協調性やいろんな部署に対応できる柔軟性などが重視される面も多いと思います。
しかし、フリーランスは基本的に一匹狼です。
その人に仕事を依頼するかどうかは、
「その人が専門性や高度なスキルを持っているか」
が大きな判断要素となります。
もちろん、フリーランスでも業種によってはチームを組んでやるような仕事もあり、協調性が重視される場合もありますが、前提として専門性や高度なスキルがなければ声はかからないでしょう。
この専門性も、貯蓄同様、独立前にすぐに身につけられるものではありません。
自分の専門性やスキルは外で通用するものであるか、一度自分の仕事を棚卸してみましょう。
そして、独立に向けて、コツコツ専門性とスキルを身に着けていきましょう。
なお、基本的には今のお仕事や、自分の得意な分野を伸ばしていくのが良いと思いますが、その専門性やスキルの市場価値は、需要と供給の関係に左右されます。
出来る限り需要が多く、供給者が少ないものであるほうが、得られる収入も高くなります。
フリーランスとしてどのような仕事があるのかをリサーチし、需要がある分野の専門性・スキルを高めるようにしましょう。
人脈構築
独立後、仕事を得る手段としては大きく次の三つがあります。
・勤めていた会社や以前の取引先経由
・知人、友人
・一般市場(直接営業や、ネット等による募集、公募等への応募)
これも業種によりますが、意外と多いのが以前勤めていた会社や知り合いに声をかけてもらうことです。
声をどれだけかけてもらえるかは、どれだけの人と信頼を構築できているかによります。
まずは普段から社内や取引先と良い人間関係を結ぶことを心がけてください。
以前の会社の取引先を引き抜いて独立、というのは論外ですが、会社ではできない小回りの利く仕事を、よく知っている人に依頼したい、などといった理由で、以前の会社や取引先から仕事を紹介してもらう、というのはよくあることです。
また、社外の人とのネットワークは、広げておいて損はありません。
できれば、勉強会などは何度も参加し、単なる名刺交換に終わらない関係を築いておくことが重要です。
ファシリテーターや懇親会の幹事を買って出るなどによりその組織に貢献しておくと、組織での信頼度もあがります。
直接仕事に結びつかなかったとしても、IT や社会保険、税金、営業ノウハウなど、いろんな有用な情報が入ってくるかもしれません。
私の場合
私は2020年4月現在で、独立して2年弱になります。
以前は公認会計士がたくさんいる監査法人というところに勤めていました。
現在は個人の会計事務所と、研修等を専門に行う合同会社を保有しています。
おかげさまで、監査法人時代より収入はやや下がったものの、途切れることなく十分な収入を得ることができています。
まず、先ほど述べた貯蓄について、2年間収入がなくても生活できるくらいはためて独立しました。
先ほどお話したように、今のところ順調ですが、体が資本の仕事なので、今後何があるかわかりません。
そのため、貯蓄があるというのは、フリーランスとしてやっていく上で本当に大切です。
2つ目の専門性・スキルについて、私の場合、公認会計士ということで「会計」や「監査」が武器になるじゃないか、と思われるかもしれませんが、それだけでは差別化できません。
例えば金融のスペシャリスト、ITに強い、など強みがないと、仕事があったとしても単価アップは期待できません。
私の場合、何で差別化したかというと、
地方公共団体専門
の分野です。
これを専門にしている独立公認会計士はとても少ないので、研修講師や支援業務でお声がけいただいています。
監査法人時代も含めると、もう20年近く従事しているので、大きな強みとなっています。
最後の人脈構築ですが、2年間を振返ってみると、仕事の90%以上は知り合い(勤務していた監査法人を含む)からの紹介でした。
仕事を紹介してくれた外の知り合いは、次のような方々です。
・以前一緒に仕事をした弁護士
・官公庁の委員会で一緒に委員をしている公認会計士やその他委員
・学会で知り合った大学教授、研究機関研究者
・勉強会で知り合ったコンサルタント
公認会計士協会の委員会や学会は、監査法人時代から約10年くらい参加しているもので、監査法人時代はまさかこの関係がたくさんの仕事をもたらしてくれるとは、思ってもいませんでした。
まとめ
自分自身を振返ってみると、会社員時代に培った専門性・スキル、人脈が独立後を支えてくれています。
これらは一朝一夕にできるものではありません。
これから独立を考えている方は、ぜひ、会社員時代からこれらを意識していただきたいと思います。
ということで、今回は、長期的な視点から、会社員時代にやっておいた方がいいことを3つお話しました。
ぜひ、長期的なプランをもって取組んでみてください。